不動産投資のリスクと対策について

不動産投資

不動産投資に限らず、投資と名のつくものには全てリスクが伴います。

そのリスクとリターンを比較し、リターンが多いと判断できる場合、その投資は実施したほうがよいと判断できます。

別の記事でも簡単に紹介しましたたが、今回も改めて不動産投資におけるリスクを以下にご紹介させていただきます。
また、各リスクに対する対応についても解説してまいります。

不動産投資のリスク(7つ)

1.空室リスク
2.滞納リスク
3.火災リスク
4.地震リスク
5.金利変動リスク
6.事故リスク(自殺、他殺)
7.損害賠償リスク

 

①空室リスク

まずは、前提と現状を整理します。

現在の不動産投資の主流は、インカムゲイン狙いとなっています。
部屋などの空間を貸し出すことで、その対価として家賃等を得るということです。

家賃を支払ってくれる入居者がいるという前提があります。

しかし、現在の状況は、日本全体の社会的構造の変化(人口減)と、需給バランスの狂い(新築物件供給が過多)という2つの理由により、簡単に入居者が集まってくれない状況になりつつまります。

つまり空室が増えているということです。

ホームズによると、日本全体の空室率は20%とのことです。

5室に1室は空室という計算です。

実際に投資をする際は、満室想定家賃から空室リスク部分を考慮して収入を見なければなりません。

空室リスクをどの程度見るのかが重要となってきます。(空室リスクの対策)

 

空室リスクに対する対応策は以下の通りです。

ポイントは

1.投資時、対象エリアのミクロマーケットの精査
2.入居付に強い管理会社を見つける

となります。

 

1については、広域的な空室率を見るのではなく、より狭小なエリアでの空室率を見るということです。

例えば、さいたま市南区全体ではなく、物件から半径500mの空室率を調査してみるということです。

そうすると、駅から幹線道路までは空室率は10%であるが幹線道路を超えると20%になるということがよくあります。

2について

現在、物件の二極化が進んでいます。

ある物件は満室なのに、となりの物件は半分空いているということが、よくあります。

それは、管理会社の二極化ということでもあります。
(自主管理のオーナーは自分自身が管理会社という位置づけ)

賃貸管理の業界は、旧態依然のままのところがいまだに多くあります。

一方で、ITを駆使し、これまで業界で行われてこなかった新たな手法を導入し、そのエリアで高い入居率を実現している管理会社も存在まします。

管理会社選びの重要性が相当高まっているということです。

管理会社選び=入居率の確定=不動産投資の成否となります。

管理会社選びで重要なのは、その担当者が収益物件をもっているかと、仲介店舗をもっていないかどうかということです。

2.滞納リスク

その名の通り、家賃を回収できないリスクがあるということです。
以下に、現在の賃貸物件管理の現状と、滞納に対する対策を書いていきます。
ご説明する必要もございませんが、不動産投資は家賃収入を得る目的で行います。
家賃収入を得るためには、その部屋に入居者がいることが当然に必要です。そして、居るだけではだめで、家賃を支払っていただく必要があります。
「何を当然のことを?」とお考えの方も多いと思います。しかし現実は、支払わない入居者がかなり多くなっています。
家賃を支払わない理由は私なりに考えるとつぎの通りと思われます。
1.社会の二極化により、経済的に厳しい人が増えた
2.日本人のモラルが低下した
1の理由については、仕方がないと思います。
問題は2で、昔であればまず家賃を支払うのが当たり前の意識でしたが、いまでは携帯電話や食費、娯楽費などの支払を優先し、家賃は後回しという方が多くいる状況です。(この問題の根底には、悪法「借地借家法」があります。詳細は別の機会にご説明いたします。)
では、どのように対策をしていけば、滞納リスクを軽減できるのでしょうか。具体的な対応策を下記にまとめてみます。
対策1

保証会社に全員加入(入居条件に家賃保証会社に加入することを必須にします。)

仮に滞納が起きても、保証会社が家賃を立て替えて支払ってくれますので、滞納リスクを取り除くことができます。
万一、保証会社により保証が長期化した場合は、保証会社が入居者に対し、立ち退きの訴訟を起こしますが、その費用もすべて保証会社負担となります。
対策2

賃貸借契約書に滞納に対する具体的対策を特約で明記
(賃貸借契約書に、滞納が起こった場合、契約が解除になる旨等、対応を明記する。)

法的には有効性が明確に認められるものではありませんが、入居者との交渉の材料として、有利に働きます。

 

対策3

家賃払い癖をつけさせる
(通常、賃貸物件は次月分の家賃を当月末までに支払うように賃貸借契約がなされています。)

 

毎月1日には家賃の滞納・遅延状況が判明します。

滞納・遅延したてのタイミングで、督促をかけるのが早期支払いを実現するポイントとなります。

私が現在勤めている会社では、紙での督促状のほか荷電やショートメールを即座に行うことで、家賃回収率を高めています。
滞納しがちの方も、毎月しつこく督促することで、「家賃は最優先で支払わなければならない」と意識づけすることができるようです。

上記の対策法を、複合的に行うことで、滞納リスクを極力取り除くことができています。

これらの対策を、自主管理の方はご自身で、管理会社に委託されている方は管理会社に行っていただく必要がありますが、家賃回収一つとっても管理会社によって、実力差がかなり出てきています。

家賃回収に対する具体的取組を聞いてみて管理会社を選ぶ必要がありそうです。

③火災・地震リスク

現在の日本国内の不動産投資の主流は、インカムゲイン狙いです。
建物という商品を貸し出すことで、毎月の使用料(家賃)をいただきましょうということです。
その商品である、建物自体がなくなリスクがあり、その要因の主なものとして、火災・地震があります。
火災・地震によって建物がなくなった場合、再建築するにもお金がかかりますし、そもそも借入があった場合、返済不能となります。
では、その対策方法についてみていきます。
正直、火災・地震リスクは対策を講じることで、大したリスクにはなりえません。
対策方法は一つだけで、「保険に加入する」です。
もっと申し上げると、「保険金を出す保険会社の保険に加入する」です。
そもそも、貸出をする金融機関としては、そのリスクを回避するため、借入時に合わせて火災保険の加入を必須にしています。

ただ、火災保険・地震保険に入る際は、保険料(掛金)の安さだけで選ぶと、実際の有事の際に困ることになります。

何事もそうですが、その行動をとる目的が何かを明確にしなければ、目先の利益に走ってしまいがちです。

火災保険に入る目的は、「保険料を安くすること」ではなく、「有事の際に保険金を受け取り、賃貸経営を続けていくこと」です。

保険会社は慎重に選ぶ必要があります。

⑤金利変動リスク

収益一棟物のアパート・マンションは数千万円から5億円までの価格帯となっていることから、多くの方が借入をして購入することになります。

物件購入の際、物件の利回りと同じくらい重要な項目が借入金利です。

借入金利が上昇すれば、当然返済金額が増えることになり、結果として収支が悪化します。

不動産投資というものは、物件利回り(表面利回りでなく、実質利回りを指します)と金利の差をいくらとれるかで最終の利益が決まります。(その率の差をイールドギャップといい、後日詳細解説いたします。)

よって、金利上昇によって、物件購入当初のイールドギャップがとれなくなり、最悪の場合赤字になるということが起こります。

では、金利上昇リスクへの対策としては、どのようなことができるでしょうか。

基本的には以下の2点が挙げられます。

金利変動リスクへの対策

1.自己資本比率を上げる
2.固定金利を選択する

 

あまりにも普通すぎる対策ですが、金利上昇を止めることは、日本政府・日銀でない限り、手の打ちようがないので、上昇した場合でも影響が少なくなる方法が対策となりえます。

順に見てまいりましょう。

1の自己資金比率率を上げるとは、物件購入の際の際、自己資金の割合を増やし、借入金の比率を下げるということです。

そうすれば、仮に金利上昇が起きた場合でも、その影響を少なくすることができます。

しかし、現実的には、自己資金を多くできない方も多いですし、投資効率的にもよろしくありません。

この対策をとれる方は一部のキャッシュが潤沢な方だけとなります。

対策の2番目としては、固定金利を選択するということです。

現在の不動産投資向けの借入状況を見てみると、全期間固定金利を選択できるところはほとんどなく、多くは期間限定型固定金利となっています。
3~10年間の期限が一般的です。

では金利上昇リスクを考えると、10年間固定金利型を選択するのが正しいのかといえば、そうとも言い切れません。

出口戦略を考える必要が出てきます。

結論から申し上げると、5年固定型(状況によっては3年固定型)がベターな選択と考えております。

固定金利型を選択した状態で、一括返済をしようとすると違約となりペナルティーが発生します。

(某銀行は借入残高の2%となっていて、仮に1億円借入残があった場合、ペナルティーは200万円となってしまいます!)

一方、これも詳細は別の機会にお伝えしたいのですが、実は収益物件は5-8年間保有ののち、売却するのが利益が残りやすいという事実があります。

よって、固定金利期間が終了する時期と、物件を売却する時期が合致するのは5年となりますので、固定金利期間としても5年がベターとなるわけです。

いずれにしましも、金利上昇リスク対策として、出口を見据えたうえで、期間特約のついた固定金利を選択するのが一つの方法と言えます。

※実際には、売却時期を見据えるといっても、物件単体の要因やほかの保有不動産との絡みもあり、一概に5年が良いとは言い切れません。
その方それぞれの個別状況に応じて、出口戦略・借入条件を考えていくことが肝要です。

⑥事故リスク(自殺、他殺)

収益不動産を保有していると、確率はかなり低いのですが、入居者が亡くなるということに遭う可能性があります。

投資という観点から、入居者が亡くなるとどのような影響が出るか、冷静に見てまいりましょう。

入居者が事故で亡くなると、同物件の他の入居者が一斉に退去する可能性があります。

また、亡くなった部屋の原状回復費用がかかりますが、事故の程度のによって、費用はかなり変わってきます。

単身者向けの場合で、壁・天井・床からすべてやり直すと、最大200万近くかかります。

また、一番のネックとなるのが、再度入居者を募集する際に、今までの賃料水準では入居希望者が現れないということです。

聞いた話では、家賃を半分にしてやっと入居者が現れたという事例もあります。

家賃が下がるということは、収益不動産の場合、物件の価値が下がることと同義となります。(収益還元評価)

 

具体例を挙げてみます。

物件価格10,000円、年間家賃収入1,000万円、利回り10%の物件で事故により入居者が亡くなったとします。

全入居者が退去し、再度募集をしたが、なかなか入居者が決まらず、最終的に家賃を以前の70%にして満室になりました。

すると、年間家賃収入は700万円となり、同じ利回り10%で評価すると、物件価格は7,000万円となり、3,000万円の含み損が発生したことになります。

(実際の物件評価は、土地そのものの評価と比べ、高いほうの金額となります。)

 

このように、事故によって家賃が大きく下がることは、不動産投資において致命的になります。

では、自殺等の事故への対策はあるのでしょうか?

結論は、対策はございません。

事故は地震などの天変地異と同じようにコントロールはできませんので、対策はございません。

 

しかし、募集の工夫次第で自殺などの事故による賃料下落を防ぐ秘策はあります。

いずれにしましても、事故の発生を抑えることはできませんが、賃料下落を抑えるのは募集方法を工夫することで、可能ということをお伝えさせていただきます。

⑦損害賠償リスク

私たちはいつどこで、他人から訴えられたり、賠償を求めらるかわかりません。

収益不動産を所有することで、訴えられたり、損賠賠償を求められる可能性があります。

わかりやすい例として、建物の不具合が原因で第三者に危害を加えてしまうケースを見ていきます。

収益不動産を所有することで、オーナーには営繕管理義務が生じます。
民法でいうところの工作物責任(民法717条)となります。

以下に民法条文を挙げさていただきます。

■工作物責任(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任:出典wikibooks)

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

民法では、最終的には所有者が責任を負うと明記されているわけです

 

隠れた瑕疵(欠陥)の場合は対策の施しようがないですが、建物を定期的にメンテナンスすることは、工作物責任を免れるために必要なことになります。

加えて、施設賠償責任保険に入ることが対策となります。

施設賠償責任保険の保険料は年払いで2万円にも満たないので、加入は必須です。

可能な限りのリスクを軽減し、不動産投資における利益を最大化するのを最終的な目標としてください。

まとめ

今回は、不動産投資における主要リスクについての対策法を解説しました。

不動産投資を検討されている方も、今回紹介した対策を物件の購入検討段階から、しっかり練っておく事によって、結果的に将来の不動産投資による利益を最大化することに繋がります。

こういった対策も含めて一度相談したい方は、個別相談も承っておりますので、ぜひ下記よりお問い合わせください。

 

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